一級建築士試験マンガをきっかけに試験対策についてもっと深堀りした情報をお伝えしようという本企画。
今回も一級建築士試験の独学系学習支援サービス「製図試験.com」の運営者である山口達也さんに僕のマンガを深堀りしてもらいます!
まずはこの1年お疲れさまでした

まずはお疲れさまでした。平成26年度の沖縄以来の追試。12月8日実施とほぼ2ヶ月という延期は辛かったよね。 100m走を走ってたらゴール寸前で130m走になった感じ。そんな2ヶ月をメンタルと集中力を絶やさずよくがんばりました。本当にお疲れ様でした。
今回は2019年度課題を振り返るとともに、来年の対策についてもまとめておきたいと思います。
2019年度12月8日課題の振り返り
追試は本試験とほぼ同一の建物

異例の12月8日追試でしたが、10月13日版とほぼほぼ内容が同じであったことにびっくりしました。敷地面積、隣接する本館の形状、周辺環境、駐車場、公会堂、図書館、用途地域、建ぺい率、容積率、延床面積の範囲、そして要求室面積もほぼほぼ同じなんです。
イメージとしては、10月13日版が「肉じゃが」とすれば再試験は「カレー」。材料はほぼほぼ同じでありながら、できあがる料理は全く異なるという出題でした。


難易度は低めだが暗記で対応は難しい

同一条件なら簡単というわけでもなく、接道条件や屋上庭園の設置階などを微妙に変えることで、10月13日版とは違う様相の解答になるという課題でした。10月13日版の残像が強い人にとっては非常に解きにくかったと思います。
単なる丸暗記で乗り越えようとする方にとっては暗記したパーツが逆に固定観念となって邪魔をしてしまい、逆にパーツを自由に使いこなせる方にとってはパーツを並べ替えるだけの試験だったわけです。
これは来期に向けて大きな示唆があると言ってよいかと思います。


2020年に向けてすること
基本を身につける

試験の基本とは
- 建築計画、構造、設備の最低限の理解があること
- 2時間程度で毎回同じ手順でエスキースがまとめられること
- 4時間以内に図面と要点がまとめられること
の3点です。
製図試験は作図という身体的訓練を伴う試験です。CADが当たり前の時代ですが「手で考える」という作業を学ぶ最後の機会として手の技術を身につけておきましょう。これらは練習すれば誰でもできるようになるスキルです。
応用を身につける

この製図試験は基本だけが出来ていても合格は難しいものです。この試験の「応用」とは、出題者=クライアントの悪意を読み取りつつそのクライアントが反論できないような計画を作り上げていく力ということです。
今年の追試でも分かったように、製図試験は悪意のある出題で引っかかる受験生を不合格にさせようという無慈悲な試験です。 受験生に求められているのは、基本ができた上で出題の中にある悪意ある条件を見切ってかわせるようになることです。 過去問を解いていく中で身につけていってください。
一旦製図試験から離れる

基本、応用を身につけることはもちろんですが、あなたの中で製図試験が年中行事化してきていませんか?
もし試験、仕事、家庭の区切りがダラダラになっているようなら、一旦製図試験のことは忘れて心身をリフレッシュさせておくことです。これまで支援してくれていた家族や同僚とのコミュニケーションをとるようにしてみましょう。
それでは、来期に良いスタートが切れますように。