ネタバレは含みません。安心してお読みください。
「ライフイズストレンジ2」の日本発売決定を記念して、僕が凄く感動した前作「ライフイズストレンジ」の感想やレビューをガラにもなく紹介します。
ゲームシステムはポイント&クリックのアドベンチャー

「ライフイズストレンジ」はフランスのDONTNOD社から発表された、アメリカのとある田舎町を舞台に1人の少女が出くわす不思議な5日間を過ごすアドベンチャーゲームだ。
プレイヤーはいわゆるオープンワールドの中で彼女を自由に操作する。町を歩き、人と会話し、様々な場所を探索し、時に選択を迫られる。
最も目を引くのは丁寧に作り込まれた世界観で、舞台となる田舎町アルカディア・ベイは見ているだけで切なくなるほど美しい。

主人公マックスはアルカディア・ベイにある高校で写真について勉強するちょっと地味で内気で人の評価を気にするような女の子。そんなマックスが平凡な学生生活を送る中、彼女は時間を巻き戻せるという特殊能力を身につける。
マックスはこの能力を使い、雑談で知ったかぶったり転びそうな人に手を貸したりと、人生をほんの少しだけより良くして過ごしていく。まさにプレイヤーがゲームや人生で「あの時こうしておけば…!」と思うささいな出来事をマックスとともに過ごし、ほんのちょっぴり気持ちよくなるのだ。
プレイヤーを物語に引き込む2つの要素
マックスの独白

ここまでなら一般的なオープンワールドなアドベンチャーゲームと変わらないが、このゲームではマックスの内心つまり独白がプレイヤーに強く干渉してくる。
プレイヤーにとっては初めて見るCGの登場人物であってもマックスにとっては大切なクラスメイトの一人だ。例えば何か嫌なことをされた時、選択肢の中で仕返しを選べたとしてもマックスは葛藤する。「でもこんなことしない方がいいかも」「ちょっとやり過ぎかな」。こうしたマックスの独白によってプレイヤーはその選択の重さや意味を知らされるのだ。
用意される選択肢も実に不器用だ。プレイヤーはマックスが取り得る微妙な選択肢のどちらかに背中を押すだけしかできない。そしてその都度マックスは悩み、喜び、怒り、悲しむことでプレイヤーとストーリーを結び付けてくれる。
マックスの日記

マックスは1日の終わりに必ず日記をつける。散策した学校の様子や小さな出来事から重大な決断まで、彼女なりの言葉を使って丁寧に一日を振り返る。
時にはプレイヤーが気付かなかったマックスの気持ちも記録されていて、あくまでその日の行動や選択はマックスが決断したものだとプレイヤーは知らされる。
それ以外はバッサリ切り捨て

このゲームは独白と日記の2大要素を軸に世界観を構築し、プレイヤーをゲームに引き込むことを最優先している。そのために必要のないアクション要素やその他のゲーム性はバッサリと切り捨てられている。
その代わりマックスの目に飛び込むものなら壁の下品な落書きやタンポン販売機だってしっかりと描かれている。
世界を構成する脚本、演出、楽曲
とにかくオープニングを見て

開始5分程度で表示されるオープニングへの運び方にこのゲームの世界観が凝縮されていると思う。しっかりとBGMを楽しめる環境でプレイしてほしい。
エピソード2から先は徹夜覚悟

マックスの日常と彼女とのコミュニケーションに重きを置いたエピソード1から一転、エピソード2から物語は一気に加速してく。もはやマックスに最も寄り添っていた僕はなすすべもなくエンディングまで引き込まれてしまった。
海外ドラマのような演出

エピソード2以降は前回のエピソードをマックスが振り返ってくれる。これがまさに海外ドラマのオープニングのようで、ゲームをしているのか観劇しているのかさえ曖昧になるほどこの世界に没入させられてしまうのだ。
マックスを作り出す吹き替え

洋画は字幕で観る人も多いと思うが、このゲームでは吹き替えが断然おすすめ。英語と日本語ではマックスの言葉の選び方やニュアンスが若干異なるのだ。
英語ではいわゆるFワードも普通に使うマックスでも、日本語では全体的に大人しい言葉遣いにされている。
これは意訳ではなくプレイヤーにマックスを溶け込ませるための秀逸なローカライズ行為だと思う。声優のたなか久美さんもマックスのキャラクターにぴったりで日本版マックスを完璧に熱演している。
最後に

凄いゲームはエンディングを迎えた時にとてつもなく切なくなる。ライフイズストレンジはまさにそういうゲームだった。ネタバレという意味ではなく、ゲームが終わることで主人公マックスと離れ離れになってしまう切なさだ。
このゲームは主人公マックス・コールフィールドのキャラクターを執拗に掘り下げてくる。部屋に帰った時、人と上手くいかなかった時、そんな些細なことでさえマックスはその時の気持ちをプレイヤーに語り掛ける。
こうして幾度となく彼女と2人の時間を過ごしていくうちに彼女の個人的な物語はいつしかマックスとプレイヤーの物語になるのだ。
このゲーム、というより、マックスと出会えて本当に良かった。
トレイラーもカッコいい
このトレイラーに使われている楽曲はNik Ammarの「Glass Walls」という曲。青春の疾走感や幼さが作品とのぴったり。
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