平成29年 一級建築士 設計製図試験「小規模なリゾートホテル」解説 2

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こんにちは!一級建築士でマンガ家のヒヅメです!

前回僕は、平成29年の一級建築士設計製図試験課題「小規模なリゾートホテル」の標準解答例1を『マインクラフト』で再現しました!

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平成29年 一級建築士 設計製図試験「小規模なリゾートホテル」解説

2020年6月10日

そして今回はもう片方の標準解答例2を再現しました!今回は標準解答例1との違い「なぜ標準解答例2が作られたのか」を解説してみようと思います!

前提条件

前提条件は前回と同じだけど大切なことだから2回言うね!

  • 一級建築士設計製図試験の勉強を進めている前提とする
  • 試験問題の立体的イメージを掴んでもらうことを目指す
  • 数的なポイントやその年の特殊な諸条件については解説しない
  • 標準解答例の図面および問題文は用意しない
    ※複製・配布禁止になってるから。
    ※試験元HPなり資格学校なりで手に入れてね!

細かい説明はしないよ!そういうのは総合資格とか日建学院とかTACとか独学系とかでちゃんと頑張るべし!

敷地および周辺条件

敷地と周辺条件は前回と同じだから前回の記事で確認してね!

建築物

外観

外観

標準解答例1と比べて外観上の違いは無し。つまり「湖側の景色を最大限取り込むこと」は必須事項というのが分かります。

全体プラン

1階平面図・配置図

1階平面図兼配置図
  • 共用部門であるラウンジ、レストラン、ショップのみを1階に設置したため、ボリュームに余裕というか無駄が多い
    ※ピロティ、ゴミ保管庫、休憩室、エントランスホールなどがかなりデブ
  • ラウンジが中央に無いため、フロントからの視認性が悪い
  • 吹抜を南面に計画したため、2層分の風景と採光を取り込めている
  • 管理部門は北東にまとめてあり、利用者との動線を明確に区分けしている

2階平面図

2階平面図
  • 客室を2階にまとめたフロアゾーニング
  • これを実現するために1階と地下1階のスカスカ具合を犠牲にしている
  • 苦し紛れの東面客室だが東面客室は即不合格ではない
  • 吹抜は標準解答例1に比べ効果的に配置してある

地下1階平面図・配置図

地下1階平面図兼配置図
  • エレベーターの前が左右につながる廊下になっていて、分かりやすいプランとは言えない
  • こちらも面積余りを感じる
    ※ホールと休憩コーナーの違いが曖昧だし休憩コーナーが貧相

断面図

断面図
  • 勾配屋根を活かした客室と廊下
  • やはり2層分の景色取り込みは気持ちがいい
  • 標準解答例1と同じく軟弱地盤への対策を施している
    ※こちらは後で詳しく解説します。

共用部門

フロント・エントランスホール

エントランスホール
  • 利用者に分かりやすい位置にフロント
  • 全体が見渡せるフロント
  • ゆったりと整形なエントランスホール
  • 共用部とつながる効果的な吹抜け

視認性は若干気になるけど、きちんと最低限のことを抑えている計画。減点方式である以上減点がないということが理想の対策。

ラウンジとレストラン

ラウンジ
ラウンジ
レストラン
レストラン

標準解答例1の東西逆転プラン。ここは標準解答例1と比較して大きなポイントは無し。リゾートホテルの中で一番雑誌に載る部分なのできちんと魅力的な計画とするべし。

吹抜

吹抜

吹抜のお手本。きちんと上下階が空間的につながっている。おまけに2層分の景色まで取り込んでいる。「明るくて開放的」とはこういうことを言うのよー。

大浴場

浴室

浴室自体のプランは特に標準解答例1と違い無し。ここでのポイントは

目隠しパーゴラ
目隠しパーゴラを露天風呂上から見た図

1も2もプライバシー対策をしっかりしているということ。いや当たり前なんですけど、いるんですよ、ついつい忘れちゃう人。覗ける風呂なんてハレンチな設計した日には免許取り消しにされかねませんよ?

宿泊部門

客室A
客室A

東南に客室を配置したL型プラン。標準解答例2がいろいろ無理をしたのはこのL型プランを実現するため。このおかげで宿泊部門を2階にまとめられたので、分かりやすいゾーニング計画となった。

そしてその中で一番犠牲となったのが

客室C
客室C

この上級客室の風景。レイクサイドのリゾートホテルの上級客室でこれは無いよね?

だけど図面に「眺望」と図示することで「いやまあちゃんと風景には気をつかってますよ」アピールをしています。逆に言うと「まあ大丈夫なプラン」は東面客室が1つの下限値とも言えます(南東には名峰があり景色が良いため)。

バルコニー
客室Cのバルコニーから見た景色

頑張ってバルコニーまで出ればなんとか名峰が見えました。まあその下にはドライエリアが見えて気持ちも乾きますけどね。

基礎

前回は書きませんでしたが、標準解答例1と2を比べると大切なことが浮かび上がってくるので解説します。まず標準解答例2の基礎ですが

基礎
標準解答例2の基礎部分

通常の階高(4m)で地下1階を計画すると基礎の下端が軟弱地盤内におさまってしまいます。そこで標準解答例2では最小限の部分を地盤改良してべた基礎に埋め込んでいます。また、平屋部分を支える基礎は布基礎としコスト面に配慮していますね。

まあ施工している人は「余計な手間がかかる分…」って気持ちもあるでしょうけど。

基礎
標準解答例1の基礎部分

ちなみに標準解答例1ではべた基礎を一部太らせて強固な地盤面に基礎を埋め込んでいました。以上のことから言えることは

  • 軟弱地盤への対策は必須 (または限りなく大きな減点)
  • 平屋部分の基礎は強固な地盤下において布基礎でも可である

ということ。これは覚えておいて損は無いと思う。

まとめ

近年では標準解答例が2案出されるようになりましたね。試験元も言っている通り「標準解答例=理想の解答例」の時代が終わり「標準解答例=一般的な合格レベル」になったことを意味します。

平成29年でまとめてみると

  • しっかり対策していれば宿泊フロアが2層に分かれても可
  • 眺望完全無視は不可
  • 覗き見できる風呂は不可
  • 軟弱地盤への対策は必須
  • 強固な地盤下にある平屋部分に関しては布基礎でも可

ということが分かりました。

標準解答例が2案出ている理由を探しながら両案を見比べれば自身のレパートリーを増やすことができますのでぜひ挑戦してみてくださいね!応援してます!

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