一級建築士試験マンガをきっかけに試験対策についてもっと深堀りした情報をお伝えしようという本企画。
今回も一級建築士試験の独学系学習支援サービス「製図試験.com」の運営者である山口達也さんに僕のマンガを深堀りしてもらいます!
本日のPick Upマンガ

まずは試験お疲れさまでした





真面目な受験生を追い落とす罠の具体的な事例

12月8日版の追試試験では多目的ホールが出題されています。多人数が利用する要求室は一般的に「優先順位が高い=出入口に近い方が望ましい」ものです。真面目な受験生はここで「多人数なら1階」という風に考えます。
ところが多目的ホールを1階に設けると2階のプランが大変まとめにくい。そういう出題でした。まとめられないことはないのですがかなり難しいわけです。
正しい解答アプローチとしては
- 多目的ホールは多人数が利用するので1階と想定してゾーニングする
- 2階の面積バランスが良くないことを発見する
- 2階に多目的ホールを配置することを検討する
- その2案のうちのベターな方を解答する
ということになります。
また多目的ホール2階にする理由としては
- 2階に屋上庭園や市民アトリエがある
- 2階に配置することで2階はかなりゆったりとしたプランニングできる
- その関係性とゆったりした空間をアピールすれば事足りる
というように説明することが可能です。




罠に対応するためには基本をしっかり抑える

この罠に対応するためにはまず基本をきっちり押さえることです(基本についてはこちらの記事を参照)。そうするとその基本からズレた部分が出題される度に気付けるはずです。
いつもと異なる部分=差異となる部分=試験元が差異にしようとしている部分=点数に差が出てくる部分=合否に関係するポイントなのです。
基本ができているということは、この「差異」が読めるようになるということと同義です。差異に気付けるようになるとこの試験は非常に楽に解けるようになります。
不合格になった自分を否定する必要はない

あなたの過去の学習を完全否定してから新たな学習法を提示する手法は受験業界では一般的にあります。
何度も不合格になり製図試験に対する自己肯定感を失っている方の多くは藁にもすがる気持ちだとは思いますが、あなたがこれまでに築き上げた勉強にはなにひとつ無駄なものはないし否定されるものでもありません。
ただ「差異」に目が行っていなかっただけ、そしてそういうセコい試験だと理解していなかっただけです。
あれだけ勉強してきているのに、そんなセコい試験だと思いたくないじゃないですか。でも残念ながらそういう差異を利用して不合格にしようとする、生真面目に積み上げているだけの受験生を嘲笑うかのような試験が製図試験の合格率40%の実態なのです。


さいごに:「私はできている」と自分を信じてみよう

この製図試験に合格するためには、
- この製図試験の実態を理解する
- 基本の習得ができているのかといった自己分析する
- まずできている自分にフォーカスする
- 次にできていないことにフォーカスする
- できていることの精度を上げていく
ということが大切です。
この製図試験の受験生は、全員合格したことない受験生の集団なんです。合格していないことにフォーカスしても意味はありません。あなたは日々合格する要因を日々積み上げていると信じてください。